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不定期コラム  第6回

初出-2001/05/01

便潜血反応と大腸癌

便潜血検査は大腸癌の有無を保証しません

食事やライフスタイルの変化により、大腸癌は着実に増えつつあります。

大腸癌は癌の中でも比較的治りやすい癌で、特に早期発見した場合はほぼ完全に治療することができます。この為に行われるのが、「大腸癌健診」です。

一般に、「大腸癌健診」として、集団検診などでは便潜血検査が行われています。

これは身体的負担がほとんどなく(何しろ便を出すだけです)、かつ一定の病変発見率を持つ優れた検査法ですが、大きな欠点もあります。

それは、「便潜血検査の結果は大腸癌の有無を保証しない」ということです。

「便潜血」とは文字通り便に血液の混入があるかどうかということですが、大腸癌は必ず出血するとは限らないので、便潜血陰性だったからといって大腸癌でないとは言えないのです。いつもは出血してるのに、検査の時だけ「たまたま」血が出てなかったということもあり得ます。特に早期のものではその傾向が強い。

また逆に大腸の病気でなくても便潜血陽性となることがあります。たとえば痔や胃潰瘍、あるいは胃癌などでは多少の出血があるのが普通ですが、このような場合でも便潜血として現れることがあり、便潜血陽性だったからといって大腸の病気と断定することもできません。これについては残念ながら医師の中にも誤解があり、便潜血反応が出た患者さんで、主治医が大腸しか調べなかった(大腸はシロだった)ため、進行胃癌を見落としていた症例もあります。

ここのところを正確に理解した上で使えば有用な検査なのですが、現実には誤解されている方も多いようです。私は経験上、進行大腸癌患者も多く診てきましたが、その中には「毎年の便潜血検査で大丈夫と言われていたのに…」と落胆される方が多くおられました。そのいずれも、「便潜血検査がシロなら大腸癌はない」という誤解が招いた発見の遅れでした。

大腸癌の有無をきちんと確かめるためには大腸内視鏡または注腸造影検査が必要です。また下痢と便秘を繰り返すなど、症状などから大腸癌の疑いが濃厚な場合は、便潜血反応の結果に関わらずこのような検査をしなければなりません。

でも現実には、これらの検査は身体的負担が大きく費用もかかるので、集団検診レベルで全員に実行するのは無理があります。このため、確実性は落ちるが負担の小さな便潜血検査で代用しているだけなのです。

大腸癌について本気で心配される方は、この点をしっかり理解して検査を受けて下さい。経済的・身体的負担の観点から「便潜血検査」を選択されるのも結構ですし、確実さを求めて内視鏡やレントゲンでの検査を選ばれても良いでしょう。当院ではいずれの検査も承っております。

 

【今回のまとめ】

  1. 便潜血検査は様々な大腸癌検査の内、経済的にも身体的にも最も負担が小さく済むものだが、確実性は落ちる。

  2. 確実なのは内視鏡やレントゲンでの検査だが、これらは便潜血検査に比べて受ける人にとって大変。

  3. どちらを選ぶかは、あなた次第。でもせっかく健診受けるなら、私は後者をお薦めします。

 

 

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